家族



母さんは強いから大丈夫

父さんはそう思って‥‥庇護欲を満たせる人達を求めてしまったのかも知れない‥‥

母さんは強い訳じゃない

落ち込んで泣いてる姿は、誰よりも脆く‥‥儚い

背中を押されたら死んでしまいそうな脆さを‥‥父さんは知らずにいたのかも知れない

父さんはそんな母さんを見なかったのだろう‥‥

いや、見ようとしなかったのだ

だからボタンのかけ違えに気付かずに‥‥

壊れてるのも気付かずに‥‥

来てしまったのだ

玲音は父を見ていた

これが最後だから‥‥本城悟史と言う人間を知る為に‥‥見ていた

父さん‥‥あなたは誰よりも遠い存在でした‥‥

他人の同級生の良くしてくれるお父さん達の方が身近に感じられる‥‥

他人よりも遠い‥‥人でした

だから俺はあなたを避けた

恨み言を言いたくないから‥‥

恨み言を謂えば母さんが悲しむと逃げて‥‥

謂わなかった

恨み言を言っていたら、この関係は変わっていたのかな?

‥‥いや‥‥今更‥‥考えても総ては遅いのだ

玲音が考えに浸っているうちに、亜依と真依はソファーに座っていた

お茶を淹れて亜沙美も座ると、その横に玲音は座った

亜沙美は「では、お話をお聞き致しましょう!」と切り出した

その顔はとても美しく‥‥亜依には目映いばかりに瞳に映った



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