家族
亜依は「あなたが悟史さんの奥さんだった方ですか?」と問い掛けた
亜沙美は「ええ、そうよ!」と艶然と笑った
総て吹っ切れてその先へ行った顔だった
亜依はそんな亜沙美を見て‥‥想いを口にした
「私は‥‥あなたに逢いたかった‥‥
多分、私から言い出す謝罪の言葉は聞いては下さらないので‥‥逢いに来たと申して宜しいですか?」
「ええ。何もかもが今更なので、あなたからの謝罪の言葉は要らないわ!」
亜沙美は謝るなと言った
謝られれば‥‥玲音と二人‥‥耐えて来た時間が‥悔しくなるからだ
「あなたは強い人なんですね」
亜依は亜沙美を見てそう言った
「私は強いわよ
母だから子供を護る為なら強くならないとダメだもの‥‥
私は悟史を引き留めて泣く事が出来なかった
何時だって平気な顔をして過ごしていた
時々‥‥私が弱い女なら‥‥良かったのかな?って想った事もあるわ
でも私は私にしかなれないの‥‥
泣きたい時に‥‥笑ってしまうの‥‥」
亜沙美はそう言いその顔に翳りを見せた