可愛い女性の作られ方
五月の連休。両家の顔合わせをした。
場所は会社の近くの有名ホテル。
結局、結納はしないことになって、顔合わせだけで済ませることにした。

当日、うちの両親はスキップしそうな勢いでやってきたけど……やっぱりお義母さんは仏頂面。
結婚は認めてくれたけどやっぱり嫌々だから、私とは目も合わさない。
ぎくしゃくした空気にうちの両親が気まずい思いをしているのかといえば……脳天気なうちの親は全然気が付いていない。
いつもは困る両親だけど、こんな時は大助かりだ。

「あ、お義父さん、お義母さん。
と、父さん、母さん。
もう顔合わせも終わったことですし、今日にでも入籍しようと思ってます。
よろしくお願いします」
 
うちの両親は顔がもう、めっちゃきらきらしている。
しかし、お義母さんは寝耳に水とばかりに、驚いた顔している。

……そして私も。
いま初めて聞いた。

「……貴尋。
そんなに急がなくても」

「そうですよ!」
 
もうお義母さんは爆発寸前、って感じだ。
お義父さんが必死でなだめている。

「だって俺、早く子供が欲しいから。
こんな言い方をするのは優里にはほんとにほんとに申し訳ないんだけど、優里も年が年だし、ゆっくりしてられない」

「えっ、あっ、……うん」
 
……ううっ。
なんか恥ずかしー。
貴尋と私の子供。
私だって、欲しい。

「そんなの、わかってるわよっ!」
 
お義母さんは結局、怒ったまま帰っていった。
お義父さんが目配せしてくれていたから、……きっと、大丈夫だと……思う。
あとで一応、ご機嫌伺のワッフル送っとこう。


そのあと。

うちの両親は「式場はここもいいわねー」とかいいながらホテルを見学し、図々しくもお役所までついてきて、私たちの入籍を見届けて帰ってきましたとも。
はい。


連休明けて会社に入籍報告すると、それはもう、蜂の巣つついたような大騒ぎ。

……中身が男と思われている私が、しかも七つも年下の元部下と、結婚したんです。
そりゃあ、大騒ぎにもなりそうなもんです。

結局、みなが話を聞きたがり仕事にならないもんだから、終わったら飲み会が開かれることになり、
急遽大人数での場所を押さえるために何人かが走り回る結果となりましたとさ。


飲み会がだいぶ進んできた頃。
……私は裕紀に絡まれていた。

「最近なんか、可愛くなって女らしくなってきたとは思ってたけど。
そういうことだったんだ」

「えっ。
ああ」

「なんで俺の前でもそんな態度とらなかったんだよ?」
 
……おまえが気付かなかっただけだっちゅーの。

「初めからそんな可愛い態度見せてれば、俺だって考えなくもなかったのに」
 
……だからおまえが、見つけられなかっただけだろーが。
貴尋は見つけてくれて、引き出してくれた。
< 43 / 45 >

この作品をシェア

pagetop