可愛い女性の作られ方
「俺じゃあ、見せる気にもならなかったって訳?」
 
……別にわざと見せなかった訳じゃないって。
何度もいうようだけど、おまえが見つけられなかっただけ。

「それとも、若い男がよくて猫かぶってるの?」
 
……はぁっ?
そんなことある訳ないだろうが!

カチンときて、まだビールの入ったコップを握ったとき、さりげなく、貴尋に上から押さえられた。

「はあ?
なにいってるんですか?
優里は元から可愛いですよ。
特にベッドの中とか、滅茶苦茶可愛いのに。
それがわからないなんて、もしかして高城先輩……下手、なんですか?」
 
裕紀は顔を真っ赤にして怒っている。
貴尋は余裕で見下したように笑っている。

「優里、帰りましょう」

「あ、でも、主役が帰ったら」

「もうみんな、できあがってるからいいですよ。
幹事にはいっておきますから」
 
幹事に適当に言い訳して、貴尋はすぐに私の元に戻ってきた。
ふたりで一緒に店を出る。

「前からいってやりたかったんですよねー。
あー、スッキリした」

「あんなこといったら、あと大変になるよ」

「別に?
絶対、俺の方が上手いですから。
……どうなんですか、優里?」

「え、あ、…………うん。
貴尋が一番、気持ちいい」

「なら問題ないです!」
 
上機嫌に貴尋は、繋いだ手をぶんぶん振り回している。

……うん。
こいつは思っている以上に、大物なんじゃないか?

……後日。
「加久田は相当のテクニシャンで、篠崎はそのテクニックに惚れたらしい」と何故か課内では囁かれていた。
……あ、いや、半分は正解みたいなもんだけど。


式は九月に挙げることになった。
いつも通り仕事しながら、合間に式場の手配や衣装合わせ、招待状の手配なんかしていると、あっという間に八月になっていた。


「優里?
最近、調子悪そうじゃないですか?」

「そう、か?」
 
……うん。なんか体がだるいんだよねー。
このところ仕事が立て込んでいるから、
疲れているのだと思うけど。

「……もしかして、できたんじゃないですか?」

「え?」
 
……できたって、……赤ちゃん、だよね?
そういえば、最後に生理きたのって……。

「最後きたの、いつですか?
ゴミの感じからしても、結構前じゃないですか?」

「……二ヶ月くらい前、かも」
 
貴尋と付き合うようになる前は。
不順なことが多かったら、一ヶ月くらい飛んでいても気にならなかった。
でも、よく考えたら、今月もきていない。
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