空に向かって


「…お久しぶりです」

ニコリと笑っておじちゃんに挨拶をすると、おじちゃんは何を勘違いしたのか…


「おい秀虎っ!お前女に手上げるのは間違ってると思わねぇのか!?」

いきなり秀虎の胸元を掴み立たせ、今にも殴りかかりそうな勢いで摑みかかる。


キョトン顔のイマイチ現状を理解出来ていない私はボーッとメニューを眺めていたが、ハッと我に返り、

「ち、違うよ!おじちゃん!これ!階段…階段で転んじゃっただけだから!!」

おじちゃんを説得し、何とか胸元から手を退けてもらった。



「いやぁー、悪いね。勘違いしちゃって。てっきり秀虎が今流行りのDV男なんじゃねぇかって疑っちまったよ」

ぽりぽりと頭を掻きながら、先ほどの出来事を笑い話にしているおじちゃんはメンタルが鋼より強いと思った。

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