空に向かって
「…今日はバイクじゃないんだね」
学校からかなり歩いたところで尋ねたら、
「お前怪我してるし、乗せる訳にはいかねえだろうが」
学校までバイクで来ていたらしい秀虎は、わざわばバイクを置いてまで私と歩いて中野食堂まで行ってくれるみたいだ。
「いらっしゃい!」
店主の元気の良い声が店内に入った瞬間に聞こえてくる。
「おっちゃん、俺いつものね」
先に決まった秀虎はすぐに店主のおじちゃんに注文をしていたので慌ててメニューを見ていると、
「沙織ちゃんかい?」
おじちゃんは私を見るなりすごく驚いていた。