ようこそ異世界レストランへ～食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます～

声がした方へ視線を向けた美奈は、ギョッとした。

テーブル上に白と茶の毛色をしたネズミが一匹いて、ニンジンスティックをムシャムシャと食べているのだ。


「キャー、ネズミ！　大変、退治しないと」


長年小料理屋で働いてきた美奈にとって、ネズミは敵である。

食材を食い荒らすだけでなく、雑菌を持ち込む不衛生な不届き者は排除しなければならない。

テーブル上のメニュー表を手に取った美奈は、思いきり振りかぶって、ネズミを叩こうとした。


「こ、こりゃ娘、なにをする！」


ニンジンスティックを落としたネズミが喋ったように聞こえたが、敵だと思い込んでいる美奈の耳には届かない。

バシッと真上から叩いたけれど、ネズミがサッと避けたため空振りに終わってしまった。

美奈が再びメニュー表を構えると、ネズミはテーブル上をちょこまかと逃げながら、焦って助けを求める。


「なにを傍観しておるのじゃ。ライアス、やめさせんか！」