ようこそ異世界レストランへ~食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます~
「あっ、治癒院から出て南の空に見えたのは、ひょっとして……」


美奈は夕暮れ時の空に、やけに大きな鳥の、黒いシルエットが列をなして飛んでいたのを思い出していた。

あれは鳥ではなく竜だったのかと納得し、改めてこれまで自分が生きてきた世界とは違うのだと感じる。


ここまで説明されたことはおそらく、この街での常識なのだろう。

それなのに、美奈がいちいち驚いて聞いていたから、ライアスたちに疑問の目を向けられてしまう。


「その娘は、バルバストルの者ではないのか?」


ライアスに尋問するような厳しい口調で問われて、ジモンは慌てて答える。


「ミーナは私の娘でございます。生まれ育ちもバルバストルで、この店の二階に住んでいます。それが、実は数日前に記憶喪失になりまして……」


ミーナが三日前に黒魔道師に呪いをかけられたことや、死亡判定後に奇跡的に蘇ったこと、そして目覚めたらこれまでの記憶を失い、性格までガラリと変わっていたこと。

それらを説明したジモンに、「それは奇妙じゃの」と応える者がいた。

やけに声が高いが、口調は年寄りじみている。


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