ようこそ異世界レストランへ~食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます~
彼らを見送ってポカンとしているミーナに、「おい」と後ろから声をかけたのは、共にレストランで働く兄のザックだ。

「食い逃げ?」と顔をしかめた彼に、ミーナが慌てて否定する。


「違うんです。竜騎士団の皆さんは、急なお仕事が入ったそうです。今日のお代は、次回来店時に支払うと言ってました」


それでもザックは「ふーん」と面白くない顔をしてドアを睨むと、テーブルを片付け始める。

不安になったミーナが「あの、ツケは駄目でしたか?」と尋ねれば、彼はぶっきらぼうに「常連なら別にいいけど」と答えた。


(けど……?)


食器をワゴンにのせているザックの顔を、ミーナは横から覗き込む。

まだ不満げにしている理由が、知りたかったのだ。

すると半歩の距離でミーナと目を合わせたザックが、頬を微かに赤らめ、「近づくな!」と距離を取った。


「ごめんなさい……」


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