ようこそ異世界レストランへ~食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます~
初めてザックに会った時、消えてしまえばよかったというようなことを言われ、随分と仲の悪い兄妹なのだと知った。

それからおよそ二カ月経ち、ミーナが一生懸命に働いていると、ザックの態度も軟化して普通に会話ができるようになった気がしていた。

けれどもそれは思い違いで、まだ嫌われているままなのかと、ミーナは肩を落とす。

するとザックが「違う!」と慌て、言い訳を始めた。


「近づくなというのは、えーと……あれだ。竜騎士団の奴らと親しくするなということだ」

「どうして?」

「明らかにお前目当てで来てんだろ。特にあのマッキオとかいう奴、軽薄そうで危ない。兄として、妹の心配をしてやってんだよ」


はっきりとわかるほどに、ザックは顔を赤らめている。

自分の発言に照れくさくなり、こういうのに慣れていないと言いたげに目を泳がせていた。


妹として受け入れられたと感じたミーナは、嬉しくなって横からザックを抱きしめた。

彼を“お兄ちゃん”と呼んでいるミーナだが、弟のように感じている。

高幡美奈として二十六年人生を送ったので、精神年齢はザックより六歳上なのだ。


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