この空の下
「離して。麗子さんが戻ってくるわ」

それでも、空は手を離さない。


その時、


「何してるんだ」

隆哉さんの声。


背後から現れたと思うと空の手を振りほどき、私と空の間に立った。


「羽蘭に触らないでください」


「君には関係ない」



ククク。

不敵に笑う隆哉さん。


「今は俺の女だ。近づかないでくれ」

顔を近づけ小声で言うと、私の背中に手を回した。


そのまま立ち去る私達を、悔しそうに見る空。


空の負け。

隆哉さんが一枚上手。


これで終わったと思った。


しかし空は、
< 106 / 405 >

この作品をシェア

pagetop