この空の下
「羽蘭、いい加減話せよ」
ベットに横になりながら、隆哉は背中から抱きしめる。

今はもうお腹が邪魔になってうつぶせにもなれない。
抱き合う事もままならない。

「こんなお前を放ってはおけないよ」
心配してくれているのがよく分かる。

「ごめんなさい」
「謝らなくてもいいから、話してくれ」

私は話すことにした。
感情は漏らさずにただ事実のみを。
話しながらまた涙が流れた。

ベットに座り込んだ私。
隆哉も起き上がった。

流れた涙の跡にそっと口づけをしてくれる。

「隆哉、キスして」

チュッ。
返事もなくリップ音が聞こえた。

うんん。
早くしろと言わんばかりに唇をノックされる。
少し力を緩めると、隆哉が侵入してきた。

うんん。
最近、隆哉のキスに慣らされてしまった私。
すっかり上書きされてしまったらしい。

口腔内を這い回る隆哉の舌。
私も絡ませていった。

「随分積極的じゃない」
そう言うために一旦離れてしまった隆哉。

「フッ、かわいいね。虐めたくなる」
そう言って耳たぶにかぶりついた。

キャーッ。

私は耳を責められるのが苦手。
隆哉はそれを知っている。

うんん。
必要に責める隆哉。

「お願いやめて」
「嫌だ」

意地悪。

その夜、隆哉は私を惑わせ続けた。
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