この空の下
コトン。

「コーヒー置くよ」


隆哉さんに声をかけられても、私は返事をしない。


理事長の電話が切れてからすでに2時間。

私はクリーニングから帰ってきた服に着替えリビングのソファーに膝を抱え座っていた。


色々と言いたいことはある。

正直、腹も立っている。

でも、しゃべりたくない。

口を開けば、自分の中の汚い部分が飛び出してしまいそう。



「ごめん。悪かった」

黙り込んでしまった私をどう理解したのか、隆哉さんがテーブルに手をついて頭を下げた。


「でも、本当に介抱しただけで何もなかった。俺だって酔いつぶれた女に手を出すほど困っている訳じゃない」


フン。

そんなこと、言われなくたって分かっている。

自分の体だもの、冷静になれば何かあったかどうか位は分かる。
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