オレンジ色のROMANCE
「お前はねじ伏せても手にいれる。
舞香は欲しいものを諦めて譲る
癖がある。
母親に躾けられたせいでな‼
舞香の恨み辛みは全部見てきた。
20歳まではちゃんと俺が守って来た。
あんたの前の旦那は舞香を引取りに来たんだ。
だけど祖父母が譲らなかった。」
「嘘...あの人が。」
「ジーちゃん、悪いけどこんな親子無理だよ。最低な奴らだ‼」
「嫌よ。杏は拓成さんがいいの
パパお願い拓成さんにお願いして‼」
「1回会ったばかりで何がいいんだ?
みてくれか?
企業か?
俺の何処がいいんだ‼言ってみろよ!
ギロり」
杏は、一言も答えられず...
悔しそうな顔をしていた。
「お前躾なおさないと、ろくな人生遅れないぞ。」
捨て台詞を吐き舞香の敵が取れた
ような、スッキリした気持ちになった。
雨が酷くなってきた。
涙かポロポロとおちてきた。
何故か、大丈夫のおまじないが
効かない。全然大丈夫じゃない。
その時雨が小降りになった。
おじいちゃんが
「ハ、ハ、ハクショオオオーン。」
なんか白いものが落ちた。
見ようじゃアスファルトに噛み付いたようにも見える。
おじいちゃんは
「あらら..しまった。」
と入れ歯を探していた。
おじいちゃんの足元にパカッとした
入れ歯が落ちている。
舞香は
「おじいちゃん足元‼」
「あ、ああ、あったあった。」
「ヤッパリ歯医者行くか?
合わなくなってのう。ハッハハ
歯茎が痩せてしまって」
おじいちゃんは歯がパッカーンと空いた 口で大笑いをした。
舞香も悪いと思ったが笑ってしまった。
「あんたは幸せだのう!」
「えっ、私が幸せ?」
お爺さんは
「綺麗な白い歯だね。
なんでもたべられるじゃないか‼
私は固いものは食べれないし
年取ると痩せて歯があわなくなる、
その度に作り直さないかん、
ワシはなぁ
歯に力ばかり入れて生きて来た
寝ても覚めても悔しい思いばかり
その挙句。大事な歯迄失った
歯に横1本線が走ってなあ
徐々になくなったワ
もう一度あんたみたいな歯が欲し
くても、もう無いわな!
もっと人生大事にしたら歯も残ってくれたやもしれん。
自業自得ちゃ自業自得!」
ハッハッハッハ
またパッカーンと空いた口で笑い
出した。
歯茎しかないお口はなんか赤ちゃん
みたいだった。
「私が..幸せ?なんだ。」
おじいちゃんにバックに入っていたコンビニ袋を手渡したら、
おじいちゃんはポイと入れ歯を入れてクルクルクルと回して入口をくく
ると
「泣き顔はにあわんよ。
笑いや。」
と歯がない口をあけ笑わせながら
ニッコリして去っていった。
そっか‼笑えたんだ。
少なくともおじいちゃんの無くした歯は私に色々と教えてくれた。
歯を食いしばる事のデメリット
自分を大切にするべき・・だと
今日のこと思い出すとおじいちゃんもセットで思いだすんだ。
本当に
入れ歯おじいちゃん、ありがとう。
笑わしてくれて‼
涙も止まりコンビニへとUターン。
ドーナッツ、唐揚げ、弁当
炭酸。ヨーグルト、プリン
色々買って部屋にもどる。
やけ食いじゃない
好きな物で自分を慰める。
お腹いっぱいな幸福感は大事
なのかもしれない。
久しぶりのDVDロマンス映画を見な
がらいっもならウットーリする
けど吐くセリフセリフが嘘っぽく
聞こえる。
「君だけを愛してる。」
イ・マ・わね。
後1時間もすりゃセリフは、一緒でも相手が違うだろうよ。
とか
「死ぬまで離さない」
死んだら想いは消えんのかよ。
嘘つけ
とか
「お前を離さない。」
いい女入れば直ぐ離すだろ‼
とか
なんかつまんないなー。
拓成の好きなアクション映画に切り替えた。
グサッグサーッ‼
うわお〜いいかんじ〜
バリッ、ボリーッゴクッ
おにぎ〇煎餅、うんまつ‼
そうだァ今日は鰻にしょう。
元気出てきた。
終わった事はしょうがない!
ふと窓をみる。朝から降り続いた
雨があがった。
こ籠もるような時間が終わった。
外には明るい太陽が、木々を照らし
始めた。
街は雨で洗われ生き生きしている。
寒い冬がもうすぐやって来る。
11月はもう目の前だ。
あーあ、
紅葉、見に行きたかったなぁ。
拓成の誘いは、最後に受ければ
良かったかも
と勘違いな後悔をする。
拓成は、もう杏のものだ..
未練がましいと己を攻め
スパゲッティとプリンと、
あんこドーナツをたべる。
いくら食べてもお腹に堪らない。
激太りコースか?
明日歩いて会社行こう。
帰りもあるこう。
カロリー取りすぎたー反省。