【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
しばらく鑑賞していたら十一時三十分になった。
お昼を食べるために五階にあるレストランへ行こうとして廊下を出たとき、誰かとぶつかりそうになった。
「すみません」
フランス語で謝り、背の高い相手を見ると、「あっ!」と声をあげてしまった。
先ほどの日本人男性だった。
「君か」
あれから二時間近く経っている。私はひとつひとつの絵画を、時間をかけて眺めていけれど、普通の観光客はサッと見て、別のところへ行ってしまうのに。
なんでまだいるの? もしかして、私のことストーカーしてる?
勝手に想像してしまい、不信感で私の口元がギュッと引きしまる。
「もしかしてついてきています?」
そう怪訝そうに言うと、彼はおかしそうに笑う。
「かわいいからって、うぬぼれが強いんだな」
「う、うぬぼれってっ!」
キーッとなって、手のひらに汗が滲んでくるのがわかり、ジャケットのポケットに入っているハンカチを握る。
「本当に失礼な人っ! ついてこないでくださいね!」
できることならあっかんべーをしたいくらいだったけれど、ツンと顔を上げることで我慢して彼から離れると、その場を立ち去った。
お昼を食べるために五階にあるレストランへ行こうとして廊下を出たとき、誰かとぶつかりそうになった。
「すみません」
フランス語で謝り、背の高い相手を見ると、「あっ!」と声をあげてしまった。
先ほどの日本人男性だった。
「君か」
あれから二時間近く経っている。私はひとつひとつの絵画を、時間をかけて眺めていけれど、普通の観光客はサッと見て、別のところへ行ってしまうのに。
なんでまだいるの? もしかして、私のことストーカーしてる?
勝手に想像してしまい、不信感で私の口元がギュッと引きしまる。
「もしかしてついてきています?」
そう怪訝そうに言うと、彼はおかしそうに笑う。
「かわいいからって、うぬぼれが強いんだな」
「う、うぬぼれってっ!」
キーッとなって、手のひらに汗が滲んでくるのがわかり、ジャケットのポケットに入っているハンカチを握る。
「本当に失礼な人っ! ついてこないでくださいね!」
できることならあっかんべーをしたいくらいだったけれど、ツンと顔を上げることで我慢して彼から離れると、その場を立ち去った。