【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 だけど若い男に絡まれたと知られたら、オーリィ氏と梨沙は心配するだろうし、ジュリアンは『今度から僕が一緒じゃないと行っちゃダメ』と言いそうで、無難にそう口にした。

「それはよかった。ジュリアン、残念だな。学校が始まったからなかなか一緒に出掛けられないな」

 オーリィ氏は目尻を下げて息子をからかう。

「はぁ~わかっていることをつきつけないで」

 ジュリアンはナイフとフォークを持ったまま、これ見よがしに大きなため息をついて残念な気持ちを表す。

「もうっ、お兄ちゃんたら、ハルは私と遊んだほうが楽しいんだから」

 ポーリンも私を大好きでいてくれて、ジュリアンと頻繁に張り合う。

「そんなことハルはひと言も言っていないだろ」
「女同士のほうが話は合うの。お兄ちゃんはうるさいし、しつこいんだもの」

 こうなると、兄妹の口げんかが止まらなくなる。そうならないうちに、梨沙が「いい加減にしなさい」とたしなめる。

 私はベーコンと玉ねぎがたっぷり入ったキッシュを口に運びながら、ふたりの苦々しい表情に笑う。

 ホームステイ先がオーリィ家で本当によかったと思う。


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