【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 仕方ない。また書こう。今日はついていないな。おかしな人にナンパされちゃったし、助けてくれたあの人はバカにしたような態度が鼻につくし。
 
 自分でなんとかできたと虚勢を張ったけれど、あの人が現れなかったら、叩かれていたに違いない。
 
 流暢なフランス語だった。ずっとパリに住んでいる人なのかな……。
 
 名前も知らない男性のことを考えてしまう自分にハッとして、首を左右に大きく振る。
 
 もう忘れよう。こんな日もあるよね。
 
 生地の周りがカリカリの美味しいガレットを食べてから、アクセサリーなどのお店をのぞき、帰宅した。



 夕食はオーリィ氏も揃い、テーブルを囲んだ。

「ハル、今日は楽しい一日だったかい?」

 オーリィ氏はいつも私が楽しかったか気にしてくれる。

「父さん、僕が一緒じゃなかったんだから楽しいわけないよ」

 私が答えるよりいち早くジュリアンが口を開く。

 そんな息子を梨沙がたしなめる。

「ジュリアン、お父さんはハルに聞いているのよ」
「今日も楽しかったです」

 実際のところ、不愉快な思いをしたから楽しかったとはいえない。

 
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