【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 パリ滞在は残すところあと二日。ホテルの部屋でじっとしていられない。出掛けたいという私に、柊吾さんはやれやれと承諾してくれた。

「あ、ちょっと待って。ネクタイが」

 私は柊吾さんの胸元に手を伸ばして、少し曲がっているネクタイを直す。

「気のつく奥さん、ありがとう」

 口元を緩ませた柊吾さんはチュッと私の鼻先にキスを落とした。

 私たちは初めて出会ったオルセー美術館へ行く途中の道で待ち合わせることにした。ひとりで行かせることに難色を示した柊吾さんだけど、私の意見を尊重してくれて出かけていった。



 お昼過ぎ、私は柊吾さんと初めて出会った場所で待っていた。

 柊吾さんを待つ私の胸はドキドキ高鳴っている。離れてからまだ数時間しか経っていないのに、早く顔が見たくて心を躍らせている。

 そこへ――。

「お嬢さん、綺麗な髪だね。俺と一緒に美術館賞をしようよ」

 背後からフランス語で誘う声がした。

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