【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「十六区の北側だ。凱旋門までは十分くらいで、アパルトマンから見える」
「うわっ、高級住宅地じゃないですか」

 私の目が大きくなる。

「部屋は三つあるだけだ。それほど高級じゃないよ。どこか住みたい希望があれば引っ越してもいい」
「いいえ。語学学校がルーブル美術館の近くなので、通えますから。あ……通ってもいいですか?」

 通うつもりでいた私だけど、ひと言もそんなことを言われていないことに気づいて尋ねる。

「もちろんだ。心春は勉強を頑張ればいい。美術館が好きなようだが、お父さんの影響で?」
「はい。眼識を養って父の手伝いをしたいと……」
「俺も休日には美術館へよく行く。一緒に行けるときはお供しよう。心春が攫われないように」

 柊吾さんはあのときのことを思い出したのか、口元を緩ませる。

「攫われません。あの人たちほどのしつこさは初めてでした。いつもは無視すればいなくなってくれます」
「やはり頻繁にあるのか。心配だな。今後は俺が保護者になる。心春にもしものことがあれば、ご両親に合わせる顔がない」
「大袈裟です。それに保護者じゃなくて、夫です」

 柊吾さんの言葉から、私を妻として見ているのではないのだと確信してしまう。

 それでいいはずなのに……。

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