【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「私が……」

 彼の手からマリッジリングを引き受けて、左手の薬指にはめる。

 女性の手と違って、節のあるがっしりした手だ。でも指が長く色気がある。

「ありがとう」

 見つめ合ってしまってから、私はハッとなりうつむく。

 お揃いのマリッジリングをつけていると、結婚を実感してきて変な気分だった。

 柊吾さんと一緒に暮らすのは楽しそうだと思うのに、どんな生活になるのか不安で逃げ出したい私もいた。


 羽田国際空港に到着し、車から降りると、運転手がトランクから私のスーツケースを出してくれる。

 柊吾さんの荷物は機内持ち込みのバッグだけ。

 そこへ航空会社の専用クルーの男性が現れ、柊吾さんに挨拶をした。

「八神さま、お待ちしておりました。お荷物はこちらでよろしいですか?」
「ああ。頼む」

 私は航空会社の専用クルーが直々に出迎えたことに内心驚いた。

 私のスーツケースをクルーの男性が運んでくれる。

 こんなサービスを受けたことがない。

 もしかして……。

「心春、行こう」

 機内持ち込みのバッグを持ち、柊吾さんは専用クルーのあとについていく。

「は、はいっ」

 遅い時間のせいか、空港内にはそれほど人はいなかった。


< 91 / 250 >

この作品をシェア

pagetop