【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 専用クルーと共に彼が足を止めたのは、ファーストクラスのチェックインカウンターだった。

 やっぱり……。

 私の考えた通りだった。

「ここ……ファースト――」
「足を伸ばしてゆっくり眠れるだろう?」

 ビジネスクラスは利用したことがあるけど、ファーストクラスなんて乗ったことがない。改めて彼は八神物産の御曹司なのだと気づかされる。

「心春、パスポートを」
「あ、はい」

 私はバッグからパスポートを出して、柊吾さんに手渡す。

 カウンターの男性クルーがスーツケースを受け取り、女性クルーはパスポートを確認しながら、チェックインの手続きをしている。

「パスポートありがとうございました」

 女性クルーがパスポートを柊吾さんに手渡し、チェックインが終わった。

「ラウンジへご案内いたします」
「いや、案内は結構です」

 柊吾さんは女性クルーに断りを入れ、私の手を取ると、案内板を見ずにファーストクラスのラウンジへ向かった。

「ファーストクラスなんて初めてです」

 今回だけ特別なのかと思ったけど慣れているようなので、毎回柊吾さんはそうなのだろうと推測する。

「それなりのサービスが受けられる。ロングフライトのときは特にファーストクラスが楽だからね。ラウンジでシャワーも使えるがどうする?」

 すでに二十時を回っているが、出発は二十二時五十五分。まだまだ余裕はある。

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