【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「あ……着替えがないので大丈夫です」
「寝るだけだから俺もいい。食事をしたばかりだが、なにか食べたいものがあればどうぞ。デザートも種類がたくさんあるよ」
「はい」

 ファーストクラスのラウンジへ足を運んだ私たちは、飛行機が見える窓のそばのソファに並んで座った。

 ラウンジのスタッフがやってきて飲み物を聞かれる。

 柊吾さんはシャンパン、私はノンアルコールのカクテルを頼む。

「食べ物は?」
「悩みます……ファーストクラスの食事は絶対に豪華で美味しいと思うので、今は食べないほうがいいかなと」

 真剣に悩みを口にすると、柊吾さんが楽しそうに笑う。

「ここも一流のシェフが作っているから、美味しいと思うよ」

 私は大きなため息をついて、首を横に振る。

「パリに着くまでに三キロは太ってしまいそうです」

 ラウンジを通る途中、上品に盛り付けられた料理を目にしていたが、ここは自分に厳しくしようと思った。

 そこへ飲み物が運ばれてきた。

「乾杯しよう。ようこそ。俺の奥さん」

 奥さんの響きが恥ずかしい。頬に熱が集中してきて、私は冷たい手を当てる。

「お願いします」

 グラスが合わさり、オレンジ色をしたノンアルコールのカクテルを飲む。オレンジベースで、ほんのり甘くておいしい。

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