対立相手が婚約者。それって何かの冗談ですか?
「それもそうね。
でも、拡樹さんもお気の毒ね。あんな女と婚約結ばされるなんて。いくらお父様が厳格だからって、少しは反発してもいいんじゃないかしら。だってよりにもよって、何の地位もないただの庶民よ?」
「あの女に毒されて、拡樹さんまでおかしくなちゃったんじゃないかって話よ。最近、自分で博物館の企画を進めようとしてるんですって。そんなの下の人間に任せておけばいいものを」
バン!
拡樹のことまで悪く言われ、ついに堪忍袋の緒が切れた恵巳は、怒りに任せて壁を平手打ち。
その鋭くも重たく響いた音は、3人の肩を跳ねさせた。
仕切りから姿を現せた恵巳に、3人は思わず顔を見合わせる。
「なによ、盗み聞き?」
「コソコソ悪口言ってたのはそっちじゃないですか。文句があるなら直接言ってきてください」
「悪口?何のことかしら?
そんな嘘を拡樹さんに言いつけたところで、あなたの言い分なんて聞き入れてもらえないわよ。
うちの父と拡樹さんのお父様は長い付き合いなの。私と争うだけ無駄よ」
3人は絶対的な自信があるのか、自分たちのことは棚に上げて臆することなくあざ笑う。
でも、拡樹さんもお気の毒ね。あんな女と婚約結ばされるなんて。いくらお父様が厳格だからって、少しは反発してもいいんじゃないかしら。だってよりにもよって、何の地位もないただの庶民よ?」
「あの女に毒されて、拡樹さんまでおかしくなちゃったんじゃないかって話よ。最近、自分で博物館の企画を進めようとしてるんですって。そんなの下の人間に任せておけばいいものを」
バン!
拡樹のことまで悪く言われ、ついに堪忍袋の緒が切れた恵巳は、怒りに任せて壁を平手打ち。
その鋭くも重たく響いた音は、3人の肩を跳ねさせた。
仕切りから姿を現せた恵巳に、3人は思わず顔を見合わせる。
「なによ、盗み聞き?」
「コソコソ悪口言ってたのはそっちじゃないですか。文句があるなら直接言ってきてください」
「悪口?何のことかしら?
そんな嘘を拡樹さんに言いつけたところで、あなたの言い分なんて聞き入れてもらえないわよ。
うちの父と拡樹さんのお父様は長い付き合いなの。私と争うだけ無駄よ」
3人は絶対的な自信があるのか、自分たちのことは棚に上げて臆することなくあざ笑う。