対立相手が婚約者。それって何かの冗談ですか?
「今日皆様に集まっていただきましたのは、他でもない、われらが学級委員長佐野と、クラストップの知能指数を誇る塩谷さんが結婚することになりましたー!

はい、おふたりさん、こちらにどうぞー」

前に呼ばれた2人は、ちらちらと視線を合わせながら照れくさそうに並ぶ。そして、佐野はタスキを強引にかけられ、本日の主役となった。

「では、幸せいっぱいのおふたりさんから一言!」

戸惑いながらも受け取ったマイクを律儀に口に持って行き、えー、と言って一礼する。

「本日は、わたくしたちのためにお集まりいただき、誠に…」

と挨拶を始めようとすると、固いぞ、と茶化されている。そんなときでも、2人で見つめ合い微笑んでいる。とてもお似合いのカップルだ。

「世界一幸せになりまーす!」

と振り切った声で右手を掲げると、盛大な拍手が送られた。恵巳も、同級生の結婚を心から喜ぶ。いずれ、皆こうして結婚していくのだろうかと、ほんの少しの寂しさも抱えて。
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