音楽好きの少女は、異世界で大人気の歌手になりました！！

「……待って、ここってなんて言う国なの？」

私は二人に訊ねる。女の子が答えた。

「ここはドリス国です」

どこの国だよ！？私は心の中で突っ込む。そんな国、聞いたことない。

「ねえお姉さん、父さんたちを探してくれるんだよね？」

男の子が私の目をまっすぐ見つめる。よく見れば、二人とも目の色が日本人とは違う。黒の中に青が混じっていた。やっぱりハーフなんだ……。って、そんなことはどうでもいいよね！

「もちろん！そう約束したしね！」

今さらその約束を無効にはできない。しかし、多くの人が行き交っているこの場所でどうやって二人の両親を見つけたらいいんだろう……。

その時、私の頭の中に路上ライブの光景が浮かぶ。これだ！両親の方からこっちに来てもらおう！

二人は日本を知らないと言っているけど、実はそういうドッキリなのかもしれない。歌を歌えば知っているというものもあるはず！

私はあの歌を歌おうと息を吸う。その刹那、冷たい雪と風が頰を撫でた。