拾ったワンコが王子を連れて来た

目覚ましの音で、ワンコロも目が覚めた様で、まだ寝ぼけてる私の顔を舐め回して来た。

「ワンコロ、おはよう。 もう、分かったから舐めないで?」

ワンコロはとても賢い犬(コ)だけど、寝床だけはどうしても覚えてくれない。と、言うより覚える気はなさそうで、今はすっかり私のベットを共有してる。

今はまだ良いが、後1ヶ月もしないうちに蒸し暑くなる。そうなったら、一緒に寝るのはマジで勘弁して欲しい。

「ワンコロ、君もいい加減ひとりで下で寝てくれない?
君の元々の飼い主さんの部屋は下なんだよ?」

まぁ、全くその気も無いみたいだし、言うだけ無駄かな?

「さぁ、散歩行こうか?」

今朝の散歩は、本来もうすぐ帰って来るであろう生田さんが行く事になってる。
でも、今朝は律子さんの弟さんにハッキリお断りする為に私が行こうと思ってる。

昨夜も彼からの何通ものメールが届いていた。

少し不安にも思ったけど、側にワンコロが居てくれたお陰で、安心出来た様で過呼吸も起こらなかった。
だが、過呼吸がいつまた起こるかわからない以上、ハッキリさせておくべきだと考えている。

玄関で、ワンコロに首輪とリードを付けていると、夜勤明けの生田さんが帰って来た。

「あ、お帰りなさい」

「…何してる?」
無表情で言う彼に、少し違和感を感じる。

ん? なんかいつもと様子が違う気がする。
疲れてるのかな?

「ワンコロの散歩に行こうと思って…」

「夜勤明けの時は、俺が連れて行く事になってるよな?」

「え? うん。 そうだけど…」

「ワンコロは俺の犬だぞ?」

え?
なんでそんな言い方するの?

「確かに、ワンコロは生田さんの犬だけど、今は…」

今は、私のワンコロでもあると思ってたのに、なんか否定されたみたいで、気に入らない。

「生田さん何かあったの?」
いつもの生田さんじゃない。

「別に!」

「別にって…絶対変だよ?」

生田さんは、それ以上何も言わず、ワンコロを連れて散歩へと出かけて行った。

絶対、変!
何が有ったんだろう…
昨日、私が帰る時までは、いつもと変わらなかったから、その後に何か有ったって事?




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