一筆恋々

【一月十二日 手鞠より淡雪への手紙】


拝復
お心遣いありがとうございます。

顔合わせにつきましては、本来やり直した方が良いのでしょうが、淡雪さんさえよろしければ、このまま祝言に向けて準備を進めていただいて構いません。
当家と久里原家との縁談に関しましては、こちらの事情もあり、当初から順風満帆とは言いがたい経緯がございます。
ここで仕切り直して時期を遅らせない方がよろしいかと存じます。

お衣装のことも含め、わたしにこれといった希望はございませんので、すべて久里原さまとわたしの両親にお任せいたします。
拝答


大正十年一月十二日
春日井 手鞠
久里原 淡雪様


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