一筆恋々
五通目 風霜高潔の候

【十月七日 手鞠より静寂への手紙】


謹啓
先日はお付き合いくださりありがとうございました。
駒子さんも静寂さんにお礼ができて、気がかりがなくなったと言っていました。

菜々子さんのことは申し訳ありません。
裏も表もない方なので、単純な興味をそのままぶつけてしまっただけなのです。
困らせてしまいましたよね。

わたしのことを「好みではない」とおっしゃったことにつきましては、何か誤解があったとのことですが、いただいたお手紙を読みましてもよくわかりません。
さすがに悲しくて、思い出すだけで涙が出ます。
行く末が暗闇で閉ざされたようです。

静寂さんの「好み」の方とはどういう方なのでしょう。
姉でしょうか?
駒子さんでしたか?
それとも菜々子さん?
お好みの方を見つけて、その方とご結婚なさったらよろしいではありませんか。
「好みでない」なら、なぜあんなことをなさったのでしょう。
(廃棄)


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