一筆恋々

【十月二十二日 手鞠より駒子への手紙】


今、英家の応接室でこの手紙を書いています。
三日ほど学校にいらっしゃらないのでお邪魔しましたが、会えないとのこと。
とても心配です。

姉から少しお話を聞きました。
菊田さんのこと、お父さまに知れてしまったのですね。
英子爵は頭ごなしに否定される方ではないと思っていたのですが、何か事情があるのでしょう。

ごめんなさい。
何も力になれなくて。

お花と、菜々子さんからお預かりしたお手紙を置いていきますので、受け取ってください。

学校で待っています。


大正九年十月二十二日
手鞠
駒子さま


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