エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない
「仕事で少し疲れてて……半分、いや、八割がた八つ当たりだった。ごめん」
芝浦は、先週の帰り道でのことを謝っているんだろう。
どこか寄って行こうかってなった矢先、白坂くんから電話がかかってきたときのことを。
あの時の芝浦は、そういえば疲れた顔をしていたかもしれない。
「いいよ。私も言い過ぎたしごめん」
わざわざ謝ってくれたことにやや驚きながらも微笑んでそう返す。
あれくらいの口論なら、時間を空けて次会ったときには普通に接して終わりにしたって普通だ。なのに、話題に挙げて謝ってくれるなんて意外だった。
「……あ。もしかして、それを謝りたくて、たい焼きのお使い引き受けたの?」
たい焼きは、部署内で食べきれなかったら適当に仲のいいひとに配っている。
沼田さんなんかは社内で顔が広いから、五枚のたい焼きが捌けないはずがない。
それなのにわざわざ私に持ってきたってことは、きっと芝浦が自分から引き受けたんだろう。
最初、たい焼きを持ってきたって聞いたときに抱いた疑問が解け納得していると、芝浦は「別に」と目を逸らす。
「嘘だ。絶対にそう」
分かりやすい反応に笑いながら言うと、芝浦はわずかに眉を寄せこちらを見た。
「だって桜井、泣くだろ」
「え?」
「どんな小さいことでも、俺が原因で泣かれたら嫌だから」
泣くって、どうして……と考え思い出す。