独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
『詩穂!? いったいなにがあったの? ねえ、大丈夫? 返事をして!』

 詩穂が首をねじると、すぐそばに蓮斗の顔があった。

「やだ、なに、離してよっ」

 詩穂は蓮斗の腕を解こうと彼の腕を掴んだ。蓮斗はまるで荷物のように詩穂をひょいと担ぎ上げ、スマホを拾って耳に当てる。

「亜矢美さん? 詩穂の友達の吉村(よしむら)亜矢美さんかな?」
『す、須藤くん!? 詩穂になにをしたのよっ!? 通報するわよっ』

 スマホの向こうの亜矢美の声が大きくて、詩穂の耳にも届いた。

「降ろしてよっ」

 詩穂が暴れるので、蓮斗はスマホを肩と頬で挟み、両手で詩穂を抱える。

「通報は待ってくれ。先に詩穂の誤解を解きたいから」
『なにが誤解よ! 詩穂を丸め込もうったってそうはいかないんだからねっ』
「丸め込んだりしないよ。ただ事実を話すだけだ」
『事実? ハリウッド女優みたいな美女とよりを戻すってこと?』
「違う。詩穂のことが誰よりも好きで、誰よりも大切だってことを伝えるだけだ」
『はぁ? なに言ってんの!?』

 亜矢美の大声が聞こえてきて、蓮斗は顔をしかめて答える。
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