独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
「朝、帰国する前にもう一度話したいとメールがあったんだ」
「それで、私に内緒でこっそり会ったんだ」

 詩穂の言葉を聞いて、蓮斗は苦い表情になった。

「それは悪かったと思う。だけど、説明している時間がなかったんだ。彼女が部屋に来たがったから、ふたりきりになりたくなくて、タクシーで会社の近くのカフェまで行った」

 蓮斗は詩穂を抱き寄せた。

「詩穂にいらない心配をかけたくなかったんだ。それが逆に心配させる羽目になって……すまない」
「彼女とどのくらい一緒にいたの?」
「タクシーで移動した時間を含めて三十分くらいだ。カフェに行って、彼女がぜんぜん反省してないってわかった。だから、『ソムニウムは絶対にマクブライト・テクノロジーズとは合併しない。二度と連絡しないでくれ』ってはっきり言った」

 蓮斗は一度詩穂の肩を撫でて言う。

「ミズ・マクブライトと別れてから、詩穂の予定を聞こうと思って電話したんだ。でも、詩穂は電話に出なかった」
「スマホを忘れてたの」
「そう言ってたな。それを知らなくて二回電話したけど、二度とも出なかった」
「二度目はいつくれたの?」
「部屋の前でミズ・マクブライトに会った直後だ。二時前くらいだな」

 ということは、詩穂がジェニファーの前から逃げ出したあと、蓮斗が戻ってきたのだろう。

「私、その直前にマクブライトさんと会った。そのとき彼女が、蓮斗に好きだって言われたって言ってた」


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