私が恋を知る頃に
発作は落ち着いたものの、穂海ちゃんはよくわからない苦痛に怯えているようで、ずっと布団に潜って出てきてくれない。

「清水先生、これ、もう説明した方がいいんじゃ……」

「うん。…でも、このことについては担当医である瀬川くんに説明してもらおうと思ってるから、もう少し待ってて」

「……はい。」

清水先生がさっきのうちに碧琉を呼んでおいてくれたようで、もうすぐ来るらしい。

そして、その後穂海ちゃんに病気の説明と手術の説明がされる。

数分待っているとコンコンッとドアがノックされた。

「失礼します」

そう言って、説明用のタブレット端末を持った碧琉が部屋へ入ってきた。

「穂海ちゃん、ちょっとお顔出せる?お話したいことがあるんだ。」

すると、少しモゾモゾと布団の中で動いてから、穂海ちゃんは少しだけ顔を出した。

「急でごめんね、さっきもまた苦しくなっちゃったでしょ?…それで、昨日検査した結果を説明しに来たんだ。」

「………………私、病気……なの?」

そう言って穂海ちゃんは、とても不安そうな顔になってしまう。

「……うん、それで、ちょっとお話聞いてもらってもいいかな?」

「………………うん…」
< 29 / 279 >

この作品をシェア

pagetop