訳あり無表情少女と一途な幼馴染
雫としては桜井組に来るのは初めてだから、チャイム鳴らした方がいいかな
チャイムを鳴らし、インターホンで蓮に用だと伝える
数秒後、蓮が出てきて私を見るなり、目を見開いて数秒固まった後
私の手を掴み、家の中に

「雫!お前何やってんだよ!?」
「蓮に話があったから来た」
「何で俺んちを知ってんだよ」
「紫音に聞いた」
「…だったら、ここがどんな家か分かったよな?分かった上で、来たのかよ」
「そう」
「馬鹿じゃねぇのか!?俺の家は極道だ!
玄関先に突っ立ってるだけで、何言われるか分かんねぇんだぞ!?
ありもしない噂だって立つんだ…、何で居たんだ」
「だから、蓮に話が…」
「携帯を使やぁいいだろ?何でわざわざ来た?」
「携帯…」

《テレパシー》使うから携帯なんて持ってない、とは言えず

「直接、話したかったから」
「…何だよ」
「蓮、私は、白狐の姫だ」
「…それが?」
「これからは、白狐の姫として…蓮の側にいる」
「…は?」
「話はそれだけ」
「え…いや、ちょっと待て。どういう事だ」
「そのままの意味、姫の役割を果たすって事」
「……どういう風の吹き回しだ?」
「単に私の気持ちが変わっただけ。それとも、今まで通りの接し方がいい?」
「いや…それは、」
「なら、これから頼むな」
「あ、ちょ…ちょっと待て!」
「何だ」
「…お前の周りで、変わった事は無ぇか?」
「何も、無いが」
「ならいい、…お前家までどうやって行くんだ」
「歩き」
「俺のバイクに乗ってけ」
「…」
「姫なら、狙われない様に送られろ」
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