俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
……ただ。彼のレンズを通して見た自分がどんなふうになるのかは、正直興味があった。

私だってアーティストのはしくれだ。憧れのカメラマンに撮ってもらえることが、どれほど素晴らしいことかくらい理解している。

それに――。

(こんな私でも小宮山さんが撮ってくれる写真なら、綺麗に見えるのかな……)

ふとそんな考えがよぎり、百パーセント無理だと思っていた心の壁に微かな亀裂が走った。

「す……少し、考えさせてください」

無理だ、恥ずかしい、あり得ないという気持ちの中に『綺麗に撮ってもらった私を見てもらいたい』という願望が小さく芽吹く。

(……見てもらいたい……でも、誰に?)

そんな自問自答は目の前の小宮山さんの笑顔と、「うん、よく考えて。でも絶対後悔させないから」と言って握られた手の感触で吹き飛んだ。



(――やっぱ、どうかしてたかも。モデルでもないただの会社員の私が、すっぽんぽんの写真なんてさらせるわけないじゃん)

帰宅した私はリビングのソファにぐんにゃりと凭れかかりながら、今日のことを改めて考えていた。

一瞬でも撮ってもらいたいと思ったなんて、小宮山さんの情熱に押されて思考がおかしくなっていたとしか思えない。

私みたいな大福餅が脱いだところで、知人友人にドン引かれ両親に嘆かれるのがオチだ。
 
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