俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「ごめん、熱くなっちゃって……。強要するつもりはもちろんないから安心して。でも、少しでも前向きに考えてもらえたなら嬉しいな」
頬を掻きながら眉尻を下げて微笑む小宮山さんを見て、私の中に迷いが生じる。
出来ることなら力になりたい気持ちは変わらない。それに……自信なんて全然ないけれど、自分では分からなかった魅力を一生懸命に語ってもらえたのは、正直すごく嬉しかった。
「えっと、あの……それってヌードじゃなきゃ駄目なんですか……?」
服を着たフォト一枚くらいならいいんじゃないかという気持ちが湧いてくる。
小宮山さんの世界のミューズなんて大それたものは無理でも、たくさんある作品の一枚くらいなら私でも協力できるんじゃないかと。
少しだけ前向きな様子を見せた私に、小宮山さんの目が輝いた。
「そうだよね、いきなりヌードなんて言われたら抵抗感があって当然だよね。でもヌードっていっても卑猥なものじゃないから。梓希さんの持つ独特の柔らかさや透明感を最大限に引き出すための手段なんだ。もちろん梓希さんが見せたくない場所は、布や小物で覆って写さないようにするから」
「現場ももちろん先生以外は女性スタッフのみにします。椛田さんを嫌な気持ちには絶対させませんから安心してください」
どうやらヌードであることは決定事項らしい。
そうなるとやっぱり引き受けることは出来ないと思う。だって自分の裸を知り合いどころか不特定多数の人に見せるなんてとても無理だし、それに小宮山さんに撮られるのだって恥ずかしい。