俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
そこには、ふたり分のご飯が用意されラップがかけてあった。

(もしかして……ご飯作っててくれてたの? しかも食べないで待っててくれたの?)

驚いて見開いたまま固まっていると、ダイニングのドアが開く音がして、私は焦って振り返った。

「……食うか? 腹減っただろ」

そこには濡れた髪をタオルで拭きながら立っている周防さんがいた。

……私は、恋人も同棲も初めてだから。ケンカした後でもご飯を作って待っていてくれるのが普通のことなのかどうかわからない。けど。

「……食べます」

きっとまだ腹が立っているだろうに彼がご飯を作ってくれたことが、私はすごくすごく嬉しかった。それは、心の中でグズグズ燻っていた嫌な気持ちが全部なくなっちゃうほどに。

「今みそ汁あっためるから。お前、おかずレンジ入れてくれ」

キッチンに立った周防さんの指示に従って、私はお皿をふたつレンジへ持っていく。

あたためのスイッチを押して、食器棚からお椀をふたつ出しながら口を開いた。

「さっきはごめんなさい」

「俺も。お前らの仕事すぐそばで見てるくせに、無神経な言い方して悪かった」

それはお互い、ご飯の準備をしながらなにげない会話を交わすような自然な感じで。

「はい」とお椀を手渡したとき初めて目が合って、私たちはどちらともなく恥ずかしそうに笑みを零した。

周防さんと一緒に暮らしててよかったと、心から思った瞬間だった。
 
< 115 / 224 >

この作品をシェア

pagetop