俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
一度何かを言おうと口を開きかけ、けれども何も言わず口を引き結んだ周防さんはくるりと背を向けると、「……勝手にしろ」とだけ残して部屋を出ていってしまった。
パタンと閉められたドアを瞳に映しながら、私はものすごい寂しさと不安に襲われる。
(なんで周防さんのこと好きって自覚した途端、こんなことになっちゃうの。恋なんか全然うまくいかない。もうやだあ)
結局真相の分からなかった誤爆メッセージのこともあり、私の気持ちは地の底まで落ちていく。惚れ薬の力があるのに全然うまくいかない自分の恋愛力のなさが本当に嫌になった。
同棲中のケンカがこんなに困ったものだと痛感したのは、それから五時間後のことだった。
「……お腹すいた……」
あれからずっと部屋に閉じこもって悲嘆に暮れていた私は、やがて自分の行動範囲に悩みだした。
お腹すいたし喉渇いたしお風呂にも入りたい。けれど部屋から出れば周防さんと顔を合わせてしまう。それはなんだかとても気まずい。
こういうときケンカした相手がひとつ屋根の下にいるってなんて不便なんだろうと、私は初めて知る苦悩を噛みしめた。
「駄目だ、このままじゃ干上がってしまう。命には代えられない」
腹を括った私はそーっと部屋を出て、キッチンへと向かった。どうやら周防さんはお風呂に入っているようだ。バスルームの方から音が聞こえる。
顔を合わせずに済むチャンスだと思い意気揚々とキッチンへ入った私は、ダイニングのテーブルを見て動きを止めた。