俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
『梓希がこれを薬指にはめてくれますように』
そう書かれた短冊に糸で結びつけられていたのは、ダイヤのきらめくパヴェタイプのリングだった。
目を真ん丸に見開き驚きに固まっていると、「お、晴れたな。これなら願い事も叶うかな」と空を見上げながら周防さんもベランダに出てきた。
「……周防さん……こ、これ……」
短冊と指輪を手にし声を震わせながら振り返る。胸が痛いほど高鳴って、手まで震えだした。
周防さんははにかんだ笑みを浮かべると、「お前の真似」と照れくさそうに言った。
「ひなたぼっこじゃなくて月光浴だっけ? それやるとなんか願いが叶いやすくなるんだろ?」
確かにそうだけど、普通はトレーに載せるものだし、第一ここ月の光があたってないし、そもそも私スピリチュアルに頼るのやめたのに。
ツッコミどころはいっぱいあるけれど、私は感激で滲んできた涙を指で拭ってから微笑んで頷く。
「叶いますよ。絶対、百パーセント」
そう言って指輪ごと短冊を差し出せば、周防さんはそれを受け取りほどいた指輪を私の左手の薬指にはめた。