俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「いつもビールばっかだけど、たまにはワインもいいな。もう一本飲むか?」
いつの間にか空になっていた私のグラスに、周防さんがボトルからワインを注ぐ。
「いえ、もう十分です! ごちそうさま!」
私は焦って首を横に振りながら、ワインではなく別のグラスの水を飲んだ。これ以上酔って隙を見せる訳にはいかない。
「じゃあ何か、デザートでも頼むか」
今度はデザートメニューを差し出してくる周防さんに、私はメニューを押し返すと「いいえ、結構です!」とお断りした。
あまりにも頑なに断り続ける私を不審に思ったのか、周防さんは少し複雑そうな表情を浮かべる。
「もしかして、さっき俺が『ポッチャリ』って言ったの気にしてるのか?」
「え?」
「だったら悪かった。俺、かわいいと思った相手にはつい意地悪な口の利き方しちゃうんだよ。これからは気をつけるようにするな」
まさかの謝罪に、私は驚きと共に不覚にも胸が一瞬締めつけられてしまった。
目の前の周防さんは、好きな相手に嫌われたくないといういじらしくて切ない顔をしている。これは間違いなく、恋する男の顔だ。
客観的に見ればイケメンな彼の切ない表情の威力は抜群で、迂闊にも胸がキュンとしてしまう。