俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
「うぅ……我ながらひどい顔……」

まるで一ヶ月分の疲れが出たようなゲッソリとした顔に、いつもより厚めにファンデーションを塗っていった。

ふとスマートフォンを見ると、いくつかの通知に混じって『今月の運勢』からのお知らせがきていたのを見つけた。

「そっか……十月が終わっちゃったんだ……」

早いもので今日から十一月。どうやら私の絶好調の波は終わってしまったようだ。

「だからって、いきなりこんな絶不調なんてなあ……」

昨日まで最大限に力を発揮してくれていたクリソコラのネックレスをブラウスの上から手で押さえため息をつくと、ゴホゴホと咳まで出てきた。やばい、どんどん悪化している。

(そういえば、よくばりすぎると後で痛い目見るって十月の運勢に書いてあったっけ。……でも別に私自身が望んでよくばったわけじゃないんだけどなあ)

妙な理不尽を覚えながら、ポーチに常備してあるマスクを取り出して装着する。ついでに確認した『今月の運勢』には、「大きな変化のある時期。自分の心に嘘をつかないで」とあった。

(変化、変化……もしかして十月の功績が認められて私もADに昇進しちゃうとか?)

クリエイティブ部は超実力主義だ。結果さえ出せれば二十代でもADになれるし、さらに有能な人は三十代でも独立していく。

(いいなあ、ADに独立……憧れちゃう)

けれどいくら先月ちょこっと活躍したからといって、自分がまだまだその域に達していないことくらい自覚している。

ADに昇進じゃないなら大きな変化ってなんだろう?と小首を傾げ、私はゴホゴホとせき込みながらクリエイティブルームへと戻っていった。
 
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