俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
私が初めて手掛けた全国区CM『ウォーターグミ』のCM試写会は、なかなかの盛況で終わった。
『青春系は飽きた』とボロクソ言っていたクライアントの人も、完成品には満足そうな笑みを浮かべ「いやあ、いいねえ。アオハルは」なんて言い出す始末だ。
「本当によくがんばったな、梓希」
試写会から帰るタクシーの中で、同乗して隣に座った周防さんは上機嫌でそう褒めてくれた。
彼も昨夜はトラブルの対応に追われ徹夜しているはずなのに、ちっとも疲れが見えない。体力があるのか、それとも仕事中は気を張っているのかは分からないけれど、すごいなあと素直に感心した。
それに引き換え私はといえば――。
「ありがと……ございます……」
試写会が終わってタクシーに乗り込んだとたん気が緩み、耐えていたしんどさが一気に押し寄せてきてしまった。
頭がクラクラとしてまともに座っていられず、周防さんにもたれかかってしまう。
「梓希……!? お前、顔が真っ赤……っ!」
私のおでこに手をあてた周防さんが、息を呑む音が聞こえた。
心配かけてはいけないと思うけれどもはや気力ではどうにもならず、私は意識がぐるんぐるんと渦に呑み込まれていくのを感じながら、そのまま瞼を閉じた。