親子
「遅かったじゃない。いったい、何してたの?」
本当の事は言えなかった。父親を力にさらわれている母親に、自分も同じようにさらわれそうになったなどと言えるはずもなかった。
「ううん、何でもないよ。ちょっと、ミルルと会ったから遅くなっただけ。」
「そう、ならいいけど。もうすぐ夕方だって言うのに、なかなか帰ってこないから、心配したわよ。」
これ以上、家族を失いたくない。パクの母親であるロドの、心からの願いだった。
< 11 / 79 >

この作品をシェア

pagetop