鎖
空を切り裂く音がした。あまりに一瞬で、その音はパクの耳に届く事はなかった。ただ、その音がしたあと、パクは転がるのをやめた。
「あ、あれれ・・・。」
目が回りながらも、慌ててワイヤーに鎖を固定した。
「何やってんのよ、パク。」
聞き慣れた声だ。その声の主は、ヤンダルの娘ミルルだった。
「ミルル?」
まだ、世界が逆転しているパクにも、ミルルの声はすぐにわかった。ただ、自分がどうやって助けられたかは、わからなかった。
「ミルル、ありがとう。でも、どうやって、どうやって僕を助けてくれたの?」
「こ、これよ。これを親父が作ったんだよ。だから、礼なら親父に言ってくれな。」
やっと、目の焦点があってきた。そして、ミルルの持っているものを確認した。ミルルの持っているもの。それは、大きな、とても大きな鎌だった。
「それって・・・。」
男勝りのミルルに、その鎌は似合いすぎた。一瞬、死に神のようだ、そんな言葉がパクの脳裏をかすめた。ただ、そんな事を口にしたら、どうなるかわかっていたので、余計な事は言わずにいた。
―――に、似合いすぎる・・・。
「ん?なんか言いたそうだけど?」
ミルルは敏感だった。
「ううん。なんでもない。なんでもないよ。それより、それは?」
「あ、これね。この鎌が、時間の流れを止めてくれるの。今、この村に働いている力、これは時間の流れなんだって。で、この鎌を使うと一瞬だけど、その時間の流れを止める事が出来るの。」
「時間の流れって?いったい、どういう事?」
「私もよくわからないよ。けれど、この村は時間の流れが、直接影響するそんな現象がずっと昔から続いているみたい。親父は、その事に気がついて、この鎌を作ったらしいんだよね。」
「す、すごいよ、ミルル。じゃ、この鎌があれば、こんな重い鎖を付けなくても、よくなるんだね。」
体の小さいパクにとって、その話は朗報に思われた。が、それが現実になる事はなかった。
「あ、あれれ・・・。」
目が回りながらも、慌ててワイヤーに鎖を固定した。
「何やってんのよ、パク。」
聞き慣れた声だ。その声の主は、ヤンダルの娘ミルルだった。
「ミルル?」
まだ、世界が逆転しているパクにも、ミルルの声はすぐにわかった。ただ、自分がどうやって助けられたかは、わからなかった。
「ミルル、ありがとう。でも、どうやって、どうやって僕を助けてくれたの?」
「こ、これよ。これを親父が作ったんだよ。だから、礼なら親父に言ってくれな。」
やっと、目の焦点があってきた。そして、ミルルの持っているものを確認した。ミルルの持っているもの。それは、大きな、とても大きな鎌だった。
「それって・・・。」
男勝りのミルルに、その鎌は似合いすぎた。一瞬、死に神のようだ、そんな言葉がパクの脳裏をかすめた。ただ、そんな事を口にしたら、どうなるかわかっていたので、余計な事は言わずにいた。
―――に、似合いすぎる・・・。
「ん?なんか言いたそうだけど?」
ミルルは敏感だった。
「ううん。なんでもない。なんでもないよ。それより、それは?」
「あ、これね。この鎌が、時間の流れを止めてくれるの。今、この村に働いている力、これは時間の流れなんだって。で、この鎌を使うと一瞬だけど、その時間の流れを止める事が出来るの。」
「時間の流れって?いったい、どういう事?」
「私もよくわからないよ。けれど、この村は時間の流れが、直接影響するそんな現象がずっと昔から続いているみたい。親父は、その事に気がついて、この鎌を作ったらしいんだよね。」
「す、すごいよ、ミルル。じゃ、この鎌があれば、こんな重い鎖を付けなくても、よくなるんだね。」
体の小さいパクにとって、その話は朗報に思われた。が、それが現実になる事はなかった。