腕に激しい痛みが走った。鎌を振る事が出来ない。
ゆっくりと、ゆっくりと、何かが頬をかすめるのを感じた。それは、時間だ。時間がまた流れようとしていた。
―――まずい。このままじゃ、ふたりともさらわれてしまう。
無理に腕を上げようとした。
「うわああああ。」
叫んだ声が、さらに痛みを増加される。痛みが螺旋を描き、永遠に続いていくようだ。声を出せば痛みに響く。それがわかったパクは、声を殺して鎌を振ろうとした。
ダメだった・・・。パクの右腕は、もう飾りでしかなかった。重さを感じるものの、どうやっても動かす事は出来なかった。

そして、ふたりはさらわれた。
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