再び時は流れる
―――痛い・・・。体中が痛いよ・・・。
痛みが全身に走る。そして、目の前に拡がるのは、見た事もない世界だ。
―――なんで、こんな所にいるの?
振り返ると、パクがいた。
「パク、なんでこんな所にいるの?それにその格好、ボロボロじゃない。いったい、どうしたの?」
「何言ってるんだよ、ミルル。僕達は、今、母さんを助けに行こうとしている所じゃないか。」
「お母さん?」
言葉の意味がわからない。パクのお母さんのイメージ。それが全く頭の中に浮かんで来ない。
「パクって、お母さんがいるんだっけ?」
「ミルル、何言ってるんだよ。何度も会った事があるじゃないか。」
「どういう事?」
会話が、かみ合っていなかった。
「どういう事って、ミルルが自分から一緒に来てくれるって言ったんだよ。忘れたの?」
答えを待つまでもなかった。完全にさっきまでのミルルとは違う。パクは、どうしていいのかわからなくなった。
「ミルル、少し休もうか?」
疲れがそうさせている、そう考えたかった。時間の流れに倒された木に、ミルルを腰掛けさせた。
「大丈夫?」
そう言いながら、ずっと鎌を振り続けた。
限界に近かった。それでも、ミルルは相変わらずだ。おまけに、痛みのせいなのか、グッタリしている。
―――どうしたら・・・、どうしたらいいんだよ・・・?
心の中で号泣していた。
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