転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
 邪気のないように見えていればいいが、どうだろう。にこにこしながら、今日のメインである仔牛のパイ包み焼きにナイフを入れる。

「そ、そうだな……俺も、嫌いじゃないぞ。仔牛は、パイ包み焼きにするより生ハムを巻いて焼く方が好きだ」

「それもおいしいですよね! お魚はどうですか?」

「香草を腹に詰めて焼くのがいい」

 食べ物談義を始めたセドリックとヴィオラの横で、タケルはつまらなそうに仔牛のパイ包み焼きを口に運んでいる。

(……なんとか、空気を変えられたかしら……)

 ヴィオラにできることはさほど多くないが、少なくとも食事の席が論争の場になるのは避けられたようだ。

「甘いものはお好きですか?」

「俺、酒飲みなんだよな。菓子を食べるよりは、酒を飲む方が好きだ」

 こうやって話をしていると、悪い人ではないようにも思えてくる。

「私は、お酒は飲めません……」

 今のところ、飲酒に興味もない。この国では飲酒できる年齢に制限はないが、おいしいとは思わないのだ。ワインよりもぶどうジュースがいい。

「そんなに小さいんじゃ、うまいとは思わないだろうな。早く大人になれ」

「もう大人です!」

 成人年齢には達していないものの、縁談が出るのだから大人と言ってもいいはずだ。たぶん。

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