転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「――ヴィオラ・アドルナート、参上いたしました」

 入り口を入ったところでスカートをつまみ、足を一歩後ろに引いて頭を下げる。顔を上げ、室内をぐるりと見回して驚いた。

 皇妃の隣に座っているのは、皇妃より年配と思われる女性だった。黒い髪は半分灰色になり、肌は日に焼けている。そして、目元と口元には深い皺が刻まれていた。

 それから、ヴィオラより少し年上と思われる少年と、二十代半ばくらいの青年。少年は女性の隣に座っているが、青年は、女性と少年の座っているソファの後ろに、ふたりを守るかのように立っていた。

「ヴィオラ、こちらはヤエコ・タバタ。ミナホ国の国王陛下の姉上よ。それから、そちらは」

「タケル・タバタだ」

 皇妃が紹介する前に、少年がそう名乗る。

「タケルは私の息子でね、兄がふたり、弟がひとりいる。今回は、見聞を広めるいい機会だと思って連れてきたんだよ」

「よ、よろしくお願いいたします……」

 ヴィオラは、ヤエコとタケルから目を離すことができなかった。ふたりとも、ヴィオラにはなじみがある――そして、それと同時に珍しく見える衣服を身に着けている。

 完全に、こちらの大陸の服とは違う。和風の趣と言えばいいのだろうか。着物に袴、それから羽織のようなものを羽織っている。

 色は、タケルが灰色の着物に黒い羽織と袴、ヤエコはオレンジの着物で、羽織と袴は茶色だ。二人の後ろに立っている男性は、着物が淡い灰色で、袴は黒、その上に羽織っている羽織は濃い灰色だ。ここは皇宮だから武器の類は持っていないようだが、剣ではなく刀を差していたとしても驚かない。
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