転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
ただ、顔立ちは平たんというわけではなく彫りが深い。ヴィオラの知る日本人と比較すると、いくぶん肌が黒いように見えるのは、船の上で過ごす時間が長くて日焼けしているからかもしれない。

「船に乗らなければ、交易には出かけられないからね――ただ、当面は我が国が力をつける方が先だろうな」

 二人の会話に耳を傾けていると、どうやら謁見の場でヤエコが皇妃に挨拶をした瞬間、ヤエコは皇妃が幼なじみであるのに気づいたらしい。

 けれど、皇妃の方は、ヤエコのことをまったく思い出せないでいたそうだ。

(名前も思い出せないって言ってたものね、そう言えば)

 皇妃に初めて思い出の味であるどら焼きを献上した時、そんな風に言っていたことを思い出す。

(ミナホ国のレシピ本みたいなものって、この国にはないから、今まで誰も作らなかったのかも)

 図書室はヴィオラも出入り自由だから、ミナホ国のことを調べたこともあったけれど、料理についての記載はなかった。

 海の向こうということもあるのか、旅行記のようなものも存在せず、結局のところ「日本に似た文化があるらしい」ということしかわからなかったのである。

「王姉であるあなたが、わざわざ使いに出るなんて――おかげで再会できたわけだけれど」

「我が王朝は、五百年続いている。私達の代で終わらせるわけにはいかないからな。世界の情勢に目を配るのは大切だ。だから、父も、世界中を回っていたんだ」
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