転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
ここまでヴィオラについてきてくれたニイファは、隣の部屋で控えている。

たぶん、いつ呼ばれてもいいように注意を払いながらも、皇妃の侍女達と楽しいお茶の時間を過ごしているのだろう。

 皇妃の侍女が入ってきて、テーブルの上にどら焼きを並べていく。それを見て、ヤエコは嬉しそうに微笑んだ。

「アデリナはこれが好きだったね。いつも、私の分まで食べてしまって」

「そ、そんなことは……いえ、あったかもしれないわね」

 パンケーキの生地で餡をはさんだどら焼きは、皇妃の記憶を頼りにヴィオラが再現したものだ。

「ヴィオラが作ってくれて……あなたのことが懐かしくなった」

 今、こうして皇妃の側で過ごすことができるのは、あの時皇妃にどら焼きを献上したからだ。

 皇妃の思い出のお菓子を作ることができれば、皇妃に取り入ることができるなんてヴィオラは思わなかった。ただ、皇妃が少しでも元気になればいいと、思っただけ。

「ずいぶん上品な味だね。おいしいけれど――これは白砂糖を使っているんだろう?」

「あとは蜂蜜を使いました」

「ヴィオラ、次は生地に黒砂糖を使ってごらん。白砂糖は減らして。そうするとコクが出て、それはそれでうまくなる」

「はい、やってみます」

 ヴィオラの特技は、とても鋭敏な味覚を持っていることだ。料理を一口食べれば、使われている食材を当てることができる。
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